2021.07.20

心の三原色とは

レイティ,ジョン J.氏の「脳を鍛えるには運動しかない!」―最新科学でわかった脳細胞の増やし方という名著があります。
運動で脳が鍛えられることを科学的に主張する内容で詳しく運動のメリットが明記されております。

しかし、最近、運動が脳に及ぼす即時的な効果については、「心」の状態の観点から研究され始めているようです。「心」はおそらく自然科学の究極的な課題の一つで、一筋縄ではなかなか理解できるものではありませんが、「心」の背景を作るような、脳の全体的な雰囲気を決める三つの要素があることがわかってきていて、【心の三原色】に例えられています。
これはそれぞれ、「ノルアドレナリン作動性ニューロン」「ドーパミン作動性ニューロン」「セロトニン作動性ニューロン」という3つの神経が関わっています。
これらの神経はそれぞれ神経伝達物質としてノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンを作ります。神経伝達物質とは、シナプスという接合部で、信号の伝達に使われる化学物質です。
一つずつ説明しますとノルアドレナリン作動性ニューロンは情動やパニック状態、ドーパミン作動性ニューロンは逆に強い抑制や鬱状態、セロトニン作動性ニューロンは中立的な覚醒状態を形成すると考えられています。光の三原色に対応させると、順に「赤」「青」「緑」と言えるでしょう。
この「心の三原色」が織りなす心の色は、おそらく行動や思考に強く影響すると考えられます。
なかでも、セロトニン作動性ニューロンの働きが注目されています。このニューロンは、脳全体を冷静な覚醒状態に保つ働きをします。
例えば、覚醒アミンという薬物を常用すると、薬物による肩代わり作用によってこのニューロンの働きが低下する為、脳がパニック状態と鬱状態を行き来し、ときに常軌を逸した行動にもつながると考えられています。
こういったことから、爽快で明晰な脳の状態を作るには、セロトニン作動性ニューロンを活性化することが重要と考えられています。以前、アミノ酸サプリメントのトリプトファンが頭を良くすると言われたことがありますが、これはトリプトファンがセロトニンの原料となることと関連があることかもしれません。

脳の神経伝達物質の前駆体は腸内で作られていることがわかっています。腸内では、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が、私たちが口にした物を食として代謝物質を作りながら活動しています。トリプトファンは大豆製品に多く含まれているので、数十種類の乳酸菌が大豆を餌として代謝する乳酸菌代謝物質は、脳や腸、皮膚、そして心とも密接に関係している可能性があるのです。


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