母乳で育つ赤ちゃんはアレルギーになりにくいといわれております。
母親の胎内にいる時の赤ちゃんは無菌状態で育てられています。
そして、誕生の瞬間、産道を通って外気に触れることで、菌が体に付着し、口からも無数の菌を取り入れます。
赤ちゃんがこれから健康的に成長していく上でこれは非常に大切なことです。
何故なら、赤ちゃんが口にしたものを消化、吸収する為には、腸内細菌たちのサポートが不可欠なのです。
その後もたくさんの菌を口から取り込み、赤ちゃんは自分自身の腸内フローラ(腸内細菌叢)を作っていきます。
お母さんの母乳には、赤ちゃんの免疫機能を高めて、腸内フローラを育成すのに役立ち、将来、常在菌になる成分がたくさん含まれています。
母乳から栄養が摂れている赤ちゃんの腸内は、ビフィズス菌がほぼ90%を占めるほど優勢なのです。
ビフィズス菌は体に取り入れた糖を分解する腸を健全に働かせるなど、様々な良い効果を与えてくれます。
また、短鎖脂肪酸という物質を作り出します。この物質はアレルギー症状を抑える働きがあることから、母乳で育った赤ちゃんは、アレルギーになりにくいといった調査やデータもあるとのことです。
【母乳に含まれる腸内フローラを守る成分】
オリゴ糖は、腸内のビフィズス菌などの善玉菌の餌となり優位に保ちます。
分泌型IgAはウィルスや最近から腸を防御します。
ラクトペルオキシターゼは、腸内で悪玉菌の活性化を防ぎます。
ラクトフェリンは腸内で悪玉菌の生育に必要な鉄分を奪います。
リゾチームは、感染症の原因となる細菌の細胞壁を破壊します。
白血球などの免疫細胞を活性化する補体成分。母乳に含まれる乳脂肪分の消化吸収を助ける消化酵素。健康な体を作るカルシウム・リン・マグネシウム等のミネラルも豊富に含まれてます。
腸内環境は善玉菌の割合を増やし、優勢に保つことが大切になります。
その為にも、善玉菌が豊富な発酵食品を偏りないように食べることが重要になります。
味噌、醤油、酢、みりんなどの調味料や、ぬか漬け、粕漬けなどの漬け物、かつお節や塩辛、納豆など、日本の食品は発酵食品の宝庫です。
日本古来の発酵食品は、日本人の腸内の常在菌と相性が良いので、腸内フローラを健やかにし、健康を保つ為に是非食べてほしい食品です。
その中でも特に納豆や味噌などの大豆発酵食品は、抗酸化力に非常に優れています。その抗酸化力の強さから「がん予防になる」ともいわれています。
味噌は、ただの調味料ではなく、健康を維持する食品ともいえるものなのです。
腸内細菌を活性化する麹菌から主に作られますが、それ以外にも乳酸菌や酵母菌など多種多様な菌も豊富に含まれています。
1日に2食ほどは、野菜がたっぷり入った味噌汁を召し上がってはいかがでしょうか?
ビタミンは体外から摂り入れるものだと考えている方は多いはずです。確かにビタミンは食品から摂れる栄養素ですが、一部のビタミンは私たちの腸内で腸内細菌(乳酸菌たち)が合成してくれているのです。
【腸内細菌が作りだす主なビタミンはこちら】
ビタミンB1
細胞内でのエネルギー生産に関り、糖の分解を助ける。精神を安定させ、疲労を取り除く。
ビタミンB2
細胞の再生や成長を促進する。脂肪燃焼を促進する。
ビタミンB6
アミノ酸の分解や生産に関わる。ホルモンなど体内物質の合成に使われる。
ビタミンK2
血液の凝固に関わる。骨の健康を保つ。
ナイアシン
皮膚や粘膜を健康に保つ。血行を促進する。
ビオチン
糖の分解を助ける。皮膚や粘膜を健康に保つ。
葉酸
たんぱく質の合成に関わる。成長を促進する。貧血を予防する。
パントテン酸
ストレスを軽減する。免疫機能を助ける。
私たち人間は、栄養バランスの良い食事を摂り、腸をいたわり更に腸内環境を良くすれば、必要な分のビタミンをサプリメントやビタミン剤に頼らなくても補給することができます。
まずは、バランスの良い栄養たっぷりの食事と、適度な運動と睡眠をしっかり確保することを意識し、腸内フローラを元気にする生活習慣を送り、ビタミンを合成しやすい腸内環境を整えていきましょう!
飽和脂肪酸は、「短鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「長鎖脂肪酸」に分けることができます。短鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸は動物性、中鎖脂肪酸は植物性が多いと言われています。
例えば、中鎖脂肪酸の一種であるラウリン酸はココナッツオイルにも豊富に含まれており、すみやかに分解され体に溜まりにくく、つまり、太りにくい油として注目されています。
飽和脂肪酸の中には、人の腸内で、腸内細菌によって代謝される短鎖脂肪酸があります。酢酸、酪酸、プロピオン酸などがそれで、ビフィズス菌などの腸内細菌がオリゴ糖や食物繊維をエサとして発酵代謝物を有機的に作っています。
最近、この短鎖脂肪酸は免疫を整える働きや腸の細胞を修復する働き、更に自律神経の調整などの有益な働きをしていることが分かっています。
一般的には、第二の脳と呼ばれている『腸』。体の中で果たす役割は大変重要になってきます。体の免疫機能を調整しながら、気分や感情を左右している様々なホルモン(神経伝達物質)を分泌しています。
また、脳からの指示とは無関係に腸として独立した神経系機能を持ち、状況によって学習することも出来るといいます。その研究の分野は、「神経消化器学」という新たな分野によりもたらされた知見です。
腸と脳の交信は、『迷走神経』という回線を通じて行われております。腸と迷走神経は心と感情を左右していることも分かっており、腸内細菌のなかには、この迷走神経を刺激する物質を出すものもいます。
何故、腸と脳はこれほどまで深い関係なのか?!それは、生物の進化を辿っていくとわかってきます。発生学的には、腸は脳より先輩。言い方を変えると、生物の脳は、腸が起源ということになります。
背骨のある動物(脊椎動物)が誕生する以前の原始的な生き物は、クラゲやナマコといった腔腸動物でした。腔腸動物とは、腸に食べ物の出入口があるような袋状の生き物で、脳がないので、腸を神経が取り囲んだ様な体をしていました。食べ物を取り込み、消化して排泄するという単純なしくみだった腔腸運動の神経が、進化する過程でやがて腸と脳に分かれたのだと考えられております。
運動を定期的におこなってる人は、腸内細菌が多いという研究結果が、アイルランド・コーク大学の研究チームによって発表されております。
運動量の多い人やアスリートは腸内細菌の種類や数が多くなるというのです。
適度に運動をすることは健康に効果的で体に恩恵をもたらすことはよく知られています。腸内フローラも同様で運動は腸内細菌のバランスを維持し活性化することも明らかになっています。
運動することによって血液循環がよくなると腸の蠕動運動が活発になります。すると、腸内環境が整えられ、免疫力もアップし、自律神経調整(バランスが整い)、ストレス解消、睡眠のリズムが改善したりと、様々な効果が見込めます。
ただし、普段運動の習慣がない人は、強い負荷は避け、自重負荷までの強度で運動しましょう。高強度の負荷をかける運動は活性酸素を生み出し、腸内細菌叢の悪玉菌を増やす原因になってしまいます。
適度な運動で十分ですので、是非、運動をする習慣をつけることをお勧めします。
5月も半ば、花粉症の時期は過ぎているのに、くしゃみや咳が出たり、鼻水が出たり肌に痒みが出ることはありませんか。スギ花粉が飛び始める時期と同時に黄砂やPM2.5も飛び始めます。生活環境に変化のある3月、4月、5月、梅雨入り前までのこの時期は、雨が降ったり晴れたりと天気の周期的な変化によって空気が入れ替わりやすいことが飛散量に関係しています。アレルギーの原因物質が多く飛び回り、複合大気汚染の肺炎、アレルギー疾患も増えているのが現状です。
細菌やウイルス、黄砂やPM2.5の様な異物が、体内に侵入し、組織や細胞を痛めつけるような刺激を加えることで、体内で火事を起こさせることになります。これが炎症です。
火事が起こると生体は血管透過性を亢進させて、浸出液を出し、直接患部を消火するだけでなく、血管内の好中球やリンパ球などの消火部隊を投入し、火種を消しにかかるようになります。これは免疫機能が働いていることとなります。免疫機能が上手く働き消炎すれば一安心なのですが、現在の大気汚染問題は深刻で、異物を日々吸い込むことで、体内に小さな炎症が起きてるのは事実です。炎症が慢性的に積み重なると、大きな病気にも繋がってしまいます。
私たちは、常にそのリスクと向き合って生活をしていかなければなりません。
【では、どうしたらそのリスクを下げられるか?】
・まずは、皆様が住んでる地域のPM2.5や黄砂の飛散量とご自身の体調にチェックし意識をむけること
・運動することは大切だが、時間帯とタイミングを気をつける
・マスクをして行動すること。(マスクをすると口呼吸になりがちになるので鼻呼吸を意識しましょう)
・鼻呼吸をする
・空気清浄機を使う
・バランスのいい食生活
・腸内フローラを意識した食事
・睡眠時間をしっかり確保する
・禁煙
・持病の管理(喘息や糖尿病など)
・体の異変に気づいたら早めに受診する
しっかり対策を心がけてリスクを減らしましょう。